宮崎駿監督が手掛けた『風立ちぬ』。美しい映像と切ない恋愛物語として知られていますが、実は「風立ちぬは意味がわかると怖い」という声も多く聞かれる作品なんです。
今回は、その深層に隠された意味と、現在どこで視聴できるのかをご紹介します。
風立ちぬが「意味がわかると怖い」と言われる理由
一見すると美しいラブストーリーに見える本作ですが、よく観察すると背筋がゾクッとする要素が隠されています。特にヒロインの菜穂子の行動には、多くの視聴者が「計算高い」「恐ろしい」と感じる場面があるんです。
ヒロイン・菜穂子の計算された行動
物語のヒロイン・菜穂子は、軽井沢で主人公の二郎と再会する際、まるで魔女の儀式のような方法で彼を「おびき寄せ」ています。森の入り口にわざとキャンバスと白い傘を置き、二郎の散歩道から見える場所で彼を待ち構えていたんです。
これは偶然ではなく明らかに計算された行動で、菜穂子は過保護な父親がいると二人きりで話せないことを理解していたため、二郎の散歩ルートに「罠」を仕掛けたというわけなんですね。
さらに、泉で祈っているふりをして二郎を待ち、彼が近づくと涙を流しながら接近していくシーンは、ホラー映画の描き方を意図的に採用しているとの指摘もあります。純粋な再会というより、まるで獲物を捕らえるかのような演出なんですね。
恋のライバルを消す巧みな話術
菜穂子の恐ろしさは、会話の内容にも表れています。大雨の中、相合傘の状態で二郎に対して戦略的な会話を展開するんです。
震災時に二郎が本当に想いを寄せていた女性・お絹については「結婚した」「2人目の赤ちゃんを産んだ」と畳みかけるように伝え、二郎の心からその存在を完全に消し去ることに成功しています。この情報の伝え方には無駄がなく、まるで事前にシミュレーションしていたかのような完璧さがあります。
しかも「お絹が泣いて喜んでいた」という言葉も、実際には悲しみや悔しさの涙だったはずなのに、まるで単なる恩人への感謝であるかのように装っています。この計算高さには驚かされます。
菜穂子は恋のライバルであるお絹の存在を、わずか数分の会話で二郎の記憶から消し去ることに成功したのです。その後、作中でお絹の話題が二人の間で出ることは一切ありません。
超至近距離での見つめ合い
パラソルの下で、菜穂子は二郎の目を覗き込むようにゼロ距離で「あなたは私の王子様だった」と告白します。普通なら照れて目を逸らしてしまうような距離感ですが、菜穂子は堂々と実行してみせます。
この大胆さと計算された行動力は、まさに「恐ろしい女性」という表現がぴったり。しかも二郎が照れて目を逸らし、「この傘、漏れますね」と話題を変えようとしても、菜穂子は「平気です」と一蹴して自分のペースを崩しません。
ただし、これは単なる悪意ではなく、運命の相手を掴み取るための必死の戦略だったとも言えるでしょう。菜穂子は結核を患っており、時間が限られていることを自覚していました。だからこそ、このチャンスを逃すわけにはいかなかったのです。
父親を避けた二人きりの時間作り
菜穂子が森で二郎を待っていたのには、もう一つ重要な理由がありました。それは「父親のいないところで話すため」です。
最初の再会シーンでは、菜穂子の父親が二人の間に立っており、二郎はパラソルを父親に渡しています。菜穂子と直接やりとりができない構図になっていたんですね。しかし菜穂子の父親は心配性で、常に娘のそばにいます。
だからこそ、菜穂子は二郎の散歩ルートに罠を仕掛け、父親のいない場所で二人きりの時間を確保したというわけです。この戦略性の高さこそが、多くの視聴者が「怖い」と感じる理由なのでしょう。
宮崎駿監督が描きたかった「女性の強さ」
宮崎駿監督は菜穂子というキャラクターに相当な思い入れがあり、制作途中で「菜穂子を死なせたくない」と言い出したほどです。それだけ魅力的に描かれたヒロインなんですね。
監督は菜穂子を通して、単なる理想の女性像だけでなく、女性の計算高さや恐ろしさ、そして男性には敵わない部分も描き出しています。これこそが、多くの女性視聴者からも共感や賞賛を集める理由なのかもしれません。
菜穂子の行動は確かに計算されていますが、それは自分の運命を切り開くための主体性の表れでもあります。病を抱えながらも、愛する人のそばにいることを選んだ彼女の強さは、見る人の心を打つのです。
実際、菜穂子は「自分の美しさに気づいていない美女」ではなく、自分の魅力を自覚してそれを活用しています。この主体性が、従来のジブリヒロインとは一線を画す要因となっているんです。
風立ちぬはどこで見れる?
気になる視聴方法についてもチェックしていきましょう。現在、いくつかの方法で『風立ちぬ』を視聴することが可能です。
サブスク配信がない理由
現在、『風立ちぬ』を含むジブリ作品は、U-NEXTやHuluといった見放題サービスでは配信されていません。多くの人気作品が配信される中、なぜジブリ作品だけは見られないのでしょうか。
これには大きく2つの理由があります。1つ目は、宮崎駿監督が「作品は映画館で見てもらいたい」という思いを持っているためです。いつでもどこでも見られる配信サービスについては、慎重な姿勢を示している可能性が高いんです。
2つ目は、日本でのジブリ作品の放映権を日本テレビが保有しており、2023年にスタジオジブリを子会社化したことで、配信についても日本テレビ系列が独占的に展開する可能性が高くなっているから。
このため、ジブリ作品のテレビ放送は日本テレビの「金曜ロードショー」に限定されており、動画配信も制限されています。
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動画配信サービスでの視聴はできませんが、DVDレンタルサービスの「TSUTAYAディスカス」では『風立ちぬ』を視聴することができます。
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VPNを使えば海外Netflixで視聴可能
海外のNetflixではジブリ作品が視聴可能となっており、VPNを使って地域制限が掛けられていない国(イギリス、フランス、韓国など)の回線としてアクセスすることで、Netflixにてジブリを見放題で視聴できます。
VPNは完全に合法なサービスなので安心してください。ただし、すべてのVPNサービスがNetflixに対応しているわけではないので、信頼性の高いサービスを選ぶことが大切です。ExpressVPNやNordVPNなどが、Netflixに対応している代表的なサービスとして知られています。
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まとめ
風立ちぬは意味がわかると怖いといわれる作品ですが、宮崎駿監督が描く「女性の強さと恐ろしさ」を知ると、また違った見方ができます。
菜穂子の行動は確かに計算高く、ある意味「怖い」と感じる要素もあります。しかし同時に、それは限られた時間の中で愛する人と共に生きることを選んだ、一人の女性の必死さでもあるんですね。
視聴方法は限られていますが、TSUTAYAディスカスなら気軽にレンタルできますし、VPNを使えば海外Netflixでの視聴も可能です。この機会にぜひ、深読みしながらもう一度鑑賞してみてはいかがでしょうか。きっと新たな発見があるはずですよ。








