スタジオジブリの誇る不屈の名作『天空の城ラピュタ』
その中で登場するのが、恐るべき破壊力を持っていながらも優しい心を持ち合わせたロボット兵です。
ロボット兵とはどのような存在なのか?
今回はロボット兵の名前やそのモデル、かわいそうな最後について紹介していきます。
ラピュタのロボット兵の種類や特徴
まずはラピュタのロボット兵のスペックです。
- 身長:3m44cm
- 体重:238kg
- 材質:形状記憶弾性ハイセラミック
マンション1階分がおよそ3m50cmですから、ロボット兵は手を伸ばせば2階のベランダに手が届くほどの長身なんですね。
一方の体重は大人の白サイと同じくらい。
身長に比べると割とスリムです。
材質はかなり特殊なもののようで、作中でもムスカがこう言っています。
「この体が金属なのか粘土なのか、それすら我々の科学力ではわからないんだ」
ラピュタでロボット兵が作られたのは数百年も前と考えられます。
それでも地上の人々の現在の技術では、当時のラピュタの技術の足元にすら及ばないのです。
ラピュタがいかに発展した高度な文明を築き上げていたかがわかります。
次にロボット兵の原動力ですが、ガソリンや電気などではなく胸元に埋め込まれた飛行石をエネルギーとして活動している様です
空も飛べるしロボットを動かせる、ビームまで出せるとは飛行石は万能すぎますね。
初登場は、軍隊の基地でのこと。
シータは、見せたいものがあるというムスカに連れられ牢屋のようなところへ行きます。
そこで見せられたのが、横たわったロボット兵です。
腕はちぎれ、一見壊れているように見えましたが、シータの唱えた呪文により再起動しました。
そして2回目に登場したのが、パズーとシータがラピュタに不時着して早々のこと。
突然現れ迫ってくるロボット兵に警戒するパズーとシータでしたが、近づいて来た理由が乗ってきたグライダーの下敷きになった鳥の巣を確認するためと気づき安堵します。
恐るべき破壊力を持っていながらも動物たちと穏やかに暮らすロボット兵たちの姿に、
これが本当に同じロボット兵なのか?と疑問を感じた方も多いのではないでしょうか。
実はロボット兵には、その用途に合わせていくつかの種類があるようです。
今回は作中にも登場した『戦闘型ロボット』と『園丁型ロボット』を紹介します。
戦闘型ロボット(怖いほう)
作中に軍隊の基地をビームでめちゃくちゃにしたのが、この戦闘型ロボットです。
見た目は全体的に茶色い色合いをしています。
長い腕の横に複数の突起を持っており、この突起から翼が出てきて飛行が可能です。
作られた目的は名前の通り、ラピュタの敵となる目標を殲滅するためです。
その力は、片腕を失った1機だけでも巨大な軍の基地をほぼ全壊させるほどで、巨大戦艦であるゴリアテすら大量の戦闘型ロボットにまったく太刀打ちできず撃墜されてしまいました。
これほどの力を持つロボットたちを意のままにできるとなれば、ムスカが世界征服を企む理由がわかりますよね。
園丁型ロボット(優しいほう)
次に紹介するのが、園丁型ロボットです。
園丁型ロボットの見た目ですが、戦闘型ロボットと違い緑がかった色をしています。
肩には苔が生えているため、もしかしたら元は戦闘型ロボットと同様に茶色だったのが、長年に渡りラピュタ内を歩き回ったことで苔むして緑色になってしまった可能性もありますね笑
また、園丁型ロボットには戦闘型ロボットにあるような腕の突起がなく、翼を出して空を飛ぶことはできません。
園丁型ロボットはラピュタの自然を守ったり整備するために作られたロボットのため、敵船に乗り移ったりするための翼は不要なんでしょうね。
ラピュタに着いたパズーとシータが最初に出会ったのが、この園丁型ロボットです。
主な役割は、人がいなくなった後のラピュタの自然や動物たちを守ることだと考えられます。
また、何百年も前に亡くなった人の墓であろう場所に今でも花を供えており、墓守としての役割もある様です。
そして特徴的なのが、園丁型ロボットは戦闘型ロボットと違い「ポーン」「ポロロロ」と機械音を出すことができることです。
このことから、簡単なコミュニケーションが可能となります。
- シータ「おいでって」
- パズー「言葉がわかるの?」
- シータ「そんな気がするだけ」
実際シータは初めて出会ったにも関わらず、すぐにロボット兵と心を通わせているようでした。
シータにお花を差し出したり、ラピュタの動物たちも園丁型ロボットを怖がらず肩に乗って遊ぶなど、とても心優しいロボットであることがわかります。
きっとラピュタに人が住んでいた時も人々の良き隣人として共に過ごしていたのでしょうね。
ラピュタのロボット兵に名前はあるの?
ロボット兵たちの名前ですが、個別に名前は付けられていません。
『戦闘型ロボット』『園丁型ロボット』となどのロボットの種類に対する名称のみです。
そして作中には登場しませんが、他にも看護用ロボットなど、いくつかタイプが存在する様です。
ラピュタ人が作ったこの半有機体ロボットは、#飛行石 に反応し、ラピュタ人のみに忠誠を誓います。その仕様はさまざまで、胸のエンブレムや色にはいくつか種類があるんです。戦闘、看護、庭園の世話などで分類されていたものと思われます。→続く#ラピュタ #パズー #シータ #ロボット兵 pic.twitter.com/VaQvN0RrcV
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) August 30, 2019
もしそれぞれに自我のようなものがあるのだとすると、個を識別する名前も与えられず働いて(もしかしたら一生起動することもなく)その生涯を終えるとてもかわいそうな存在ですね。
ラピュタのロボット兵はルパン三世にも登場?ラムダ説について考察
いくつかのタイプが存在するロボット兵ですが実はこのロボット兵、ルパン三世にも登場していたと言われています。
登場する作品は『ルパン三世(TV第2シリーズ)』の第155話(最終回)『さらば愛しきルパンよ』
1980年に放送された回です。
その姿がこちら!
いかがでしょうか?ラピュタに出てくるロボット兵とそっくりですよね!
赤茶色のロボットは『ラムダ』
少し黄色味があり頭が2つあるロボットは『シグマ』といいます。
両方とも三角の小さい頭に細長い手足を持つロボットです。
その中でも、ラピュタに出てくるロボット兵は、この『ラムダ』をモチーフにしているのではないかと言われています!
理由は、ロボット兵とラムダの見た目が瓜二つだからです。
ラピュタに登場するロボット兵と並べてみると・・
ロボット兵(ラピュタ)↓
ラムダ(ルパン三世)↓
どうでしょうか?瓜二つですよね!
逆三角の胴体から小さめのおしりまでそっくりです!
ここまで似ていると、まさかスタジオジブリがパクリをしたのかと心配になりますよね。
そんなことはありませんでした笑
実はこの『さらば愛しきルパン』
宮崎駿監督が「照樹務」名義で脚本・演出を担当していたんです!
ラピュタ公開年が1986年なので、そこから遡ること6年前に宮崎駿監督が制作したアニメとなります。
この作品で登場させたロボット兵を、ほぼ流用した形で『天空の城ラピュタ』でも登場させたと思われます。
他の作品でも登場させるとは、よほど宮崎駿監督はこのロボットを気に入っていたんですね。
しかもこのロボット、更に元ネタがあると言われています。
ラピュタのロボット兵のモデルはスーパーマン?
ラピュタのロボット兵のルーツがルパン三世にあることがわかりましたが、そのルパン三世のロボットにも、更に遡ってルーツがあるんです。
それがこちら↓
『さらば愛しきルパンよ』に登場するロボット兵はラムダといって、フライシャーが作った『スーパーマン』に登場するロボットが元ネタとなっています。
手足が長く、首にプロペラがついてるデザインや、登場するシチュエーションや、動きなどもオマージュされています。https://t.co/pUbjMtat6o pic.twitter.com/ykegLeFFOI— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) October 15, 2021
手を広げて空を飛ぶ姿や細長い手足など、ロボット兵やラムダを彷彿とさせますよね。
この作品は1980年より40年ほど前の、1941年にアメリカで公開されています。
1941年といったらまだ日本は戦時中ですよね・・
そんな古い作品から宮崎駿監督はインスピレーションを受けていたんですね。
調べるまで筆者自身もこのことを知らなかったのでとても驚きましたし、
宮崎駿監督の外部からの刺激をアウトプットする表現力の高さに感銘を受けました。
ラピュタのロボット兵とナウシカの巨神兵は同じ?
複数のルーツを持つラピュタのロボット兵ですが、それと同一視されているのが、巨神兵です。
巨神兵は、『天空の城ラピュタ』と同じくスタジオジブリが手がけた作品『風の谷のナウシカ』に登場します。
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巨神兵とは
原作・映画共に、1000年前に産業文明を崩壊させた「火の七日間」で世界を焼き払ったといわれる巨人
引用元:Wikipedia
作中では体が出来上がっていない不完全な状態で登場し、あっけなく溶けて死んでしまいました。
なぜロボット兵と巨神兵が同じとされているかの理由ですが、2つあります。
①世界を滅ぼすほどの圧倒的な破壊力
②手足の長さや顔の形など、見た目が似ている
この2つが理由の様です。
ただし、ロボット兵と巨神兵ではそもそも機械と生物とで違いがありますし、ロボット兵は大きいものの巨神兵のようにビルを跨ぐような巨大さはありません。
このことから、似てはいますが全く別のキャラクターである説が濃厚であると考えられます。
ラピュタのロボット兵がかわいそうで泣けるシーン
最後に、ロボット兵がかわいそうで泣けるシーンについて紹介します。
作中軍隊に囚われの身となったシータが呟いた古の言葉により、眠っていたロボット兵が目を覚まします。
突然起動したロボット兵に周囲は騒然となりますが、ロボット兵は『飛行石を持つ者』つまりシータを守るという意思に従い、無慈悲なまでに軍隊の基地をめちゃくちゃにします。
シータはロボット兵に抱きつき攻撃をやめるよう懇願しますが、そうしているうちにもロボット兵の放った光線により多くの命が失われてしまいました。
しかし最後には、シータの懇願を聞き入れるかのようにロボット兵はシータを城のヘリに降ろし、胸元の飛行石に手を当て忠誠を示すような仕草をします。
その直後です。
ゴリアテから放たれた砲撃が胸に直撃し、ロボット兵は動かなくなってしまいました。
シータの表情が切なくて、見ているこちらまで泣いてしまいそうになりますよね・・
SNSでもこんな声があります。
やっぱりみんなこのシーンがつらいと思っているんですね。
筆者も、作中で1〜2を争う切ないシーンだと思います。
まとめ
今回はラピュタのロボット兵についてまとめさせていただきました。
機械でありながらも、シータに対する忠誠の心や動物たちと穏やかに暮らす姿からは、命令によるオートマティックな判断ではない、感情のようなものが伝わりますよね。
次にラピュタを見る際は、そんなロボット兵の姿にフォーカスしていただけたら嬉しいです。