映画『千と千尋の神隠し』の中でも、一際異彩を放つキャラが『坊』です。
坊といえば、湯屋の経営者である『湯婆婆』の子供ですよね。
赤ん坊らしいまんまるなフォルムにちょこんとした赤い前掛け、子供らしい幼い声がとってもかわいい!
そんな坊は、とにかくでかい!千尋と並ぶとその巨大さが一層わかります。
そしてもう1つ特徴的なのが、見た目は赤ん坊なのになぜか言葉を話せること!
- 坊とは何者なのか?
- 本当に湯婆婆の子供なの?
- 母親がいるってことは当然父親も…?
今回はみんな気になる坊の秘密に迫ってみました!
坊の正体は?名前や年齢は設定されているのか
坊って、実は何者なんでしょう?
坊は湯屋の中で、湯婆婆とともに最上階の豪華な部屋で暮らしています。
好きなものを好きなだけ食べる生活をしていたせいか、体型は病的なまでにデ・・いや、ふっくらしていますよね笑
坊の性格はとにかくわがままで乱暴!
「ここにいて坊とお遊びしろ」
ハクを助けるために必死な千尋に対し、坊は自分と遊べと駄々を捏ねます。
拒否したらなんと泣き出す始末…
これまでもきっと、泣いたらなんでも解決できたんでしょうね。
いかに湯婆婆が坊を甘やかしてきたかがわかります。
そんな坊ですが、作中千尋と行動を共にすることで、段々と相手への気遣いや善悪の判断などが出来るようになっていきます。
坊は本名なのか
湯婆婆からは『坊』と呼ばれていますが、おそらく本名ではないと考えられます。
なぜなら『坊』とは、一般的には小さい男の子をことを指す愛称だからです。
例えばアメリカ映画などでも、お母さんが子供のことをマイボーイって呼んだりしますよね。
つまり『坊』とは愛称であり、実際の名前は他の可能性が十分にありますが、詳細は不明です。
坊は年齢不詳だが…もしかするとおっさんかも?
坊っていくつなのでしょう。
見た目だけで判断するなら、サイズ感はともかくどう見ても1歳前後の赤ちゃんですよね。
しかし、この坊とても流暢に言葉を話します。
話す内容から、頭脳レベルは5~7歳くらいなのでしょうか…
更に、『千と千尋の神隠し』の世界特有の設定が、年齢判定をますます困難にします。
それは、この世界では見た目と年齢が一致しないキャラが大勢いる。ということです。
例えばハクも川の神様であり、遥か昔から存在するはずなのに見た目は千尋とあんまり変わりませんよね。
従って坊も、実は『あの見た目で50歳』なんてこともあり得るのかも・・
そうなってくると少し怖くなる想像があります。
千尋が坊の部屋に隠れた時、坊はこんなことを話していました。
「おんもに行くと病気になるからここにいるんだ」
このことから、坊は生まれてからずっと外に出たことがないと考えられます。
この異様な子供部屋で何十年・・下手したら何百年も湯婆婆の庇護の下、甘やかされて赤ん坊から成長できず過ごしてきたのかも・・
なんて想像するとゾッとしちゃいますね。
坊の母親は湯婆婆なの?坊の父親は誰?
続いて紹介するのが、坊のお母さんとお父さんです。
まずはお母さんですが、ずばり母親は『湯婆婆』とみて間違いないでしょう。
なぜなら、スタジオジブリが坊のことをこう紹介しているからです。
『坊は湯婆婆が溺愛する息子』
そうなると、気になるには当然父親ですよね。
人間と同じと考えるなら、坊にも確実にお父さんがいると考えられます。
あの湯婆婆に惚れて、湯婆婆からも認められる相手・・
一体どんな強者なのでしょうか笑
説1:坊の父親は釜爺
まず候補として上がっているのが、湯屋の縁の下の力持ち。
ご存知このお方『釜爺』です。
湯屋にやってきた千尋が、ハクに紹介されて初めて会話した従業員こそ、釜爺です。
その後も釜爺は千尋に親身に接してくれます。
そんな釜爺、どんな人物なのでしょうか。
釜爺は湯屋の地下階にあるボイラー室で、日々様々な薬草を調合して薬湯を作り出します。
八百万の神様たちがこぞって湯屋にやってくるのも、釜爺が調合するその薬湯が目当てです。
寝たり食べたりも全部仕事スペースで済ませている様子なので、相応なワーカホリックなのかも…
釜爺は他の従業員とは一線を画した重要なポジションであり、湯屋になくてはならない存在ですから、経営者である湯婆婆と親しい関係にあってもおかしくありませんよね。
更に、2人の名前で気づくことがありませんか?
『湯婆婆』と『釜爺』・・・そう、シンメトリーになっているんです!
ここに坊を加えると、婆・爺・坊になります。
これほどしっくり来る組み合わせもないでのは??
また、釜爺はセリフにこんなものがあります。
釜爺「判らんか、あいだ、愛」…千と千尋の神隠し放送中! #kinro #金曜ロード pic.twitter.com/xOGpkKB0IY
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) November 21, 2014
愛を語る釜爺。そこには確かな説得力があります。
誰かと昔、燃え上がるような恋をしたことがあるのでしょうか。
その相手がもしかしたら湯婆婆だったのかもしれませんね。
説2:坊の父親は頭
さて、続いて紹介する2人目ですが、皆さん『頭(かしら)』って誰か覚えていますか?
これは、湯婆婆に仕えている、緑色の頭だけの怪物「頭(かしら)」です。
中年男性のような容貌で、跳ねたり転がりながら移動し、「オイ」としか話すことができません。
いつも三体同時に行動するようです。#千と千尋の神隠し #千と千尋 pic.twitter.com/3YW5jh4051— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) August 16, 2019
「オイ」「オイ」と呟きながらぴょんぴょんと跳ね回る頭。
何も考えてなさそうですが、湯婆婆に指示を受けてハクを地下に続く穴で落とそうとしていましたよね。
その事から、頭にはしっかりと知性があることがわかります。
そして実は、この頭にも坊の父親であるのではないかという噂が流れています。
なぜその説が流れているのか。
それは頭が湯婆婆の部屋に出入り自由という事にあります。
湯婆婆の部屋は湯屋の最上階にあります。
いわゆる社長室のようなもので、余程の事情や役職でなければ通常入ることすら叶いません。
魔女の契約印や豪華な装飾品、更に隣りには愛息子の坊が暮らす部屋があるのですから当然ですよね。
また、頭は坊の世話や遊び係も担当していると見られます。
湯婆婆や坊にとって最も近くにいる存在。それが頭なのです。
こういったことから、頭が坊の父親ではないか。という噂が浮上するのもうなずけます。
説3:坊の父親はおしら
3人目として紹介するのが、『おしら様』です!
大根の神様であるおしら様。
坊と同じく、こちらもなかなかインパクトのある見た目をしております笑
作中序盤では千尋を助け、最後に千尋が湯屋を去る時も大勢のお客様の中に混じり千尋を見送ってくれました。
とても優しい心を持った素敵な神様なんですね。
そんなおしら様が坊の父親として名前が上がっている理由ですが、サイズ感といいふくよかさといい、赤色を纏っているところといい、坊にそっくりなところにあります!
見れば見るほどそっくりです笑
更に、おしら様は本来お客様が上がることができないエレベーターで湯婆婆や坊の住む最上階へすんなり上がっています。
これは、坊や湯婆婆に会いに行こうとしていたのではないか?とも言われています。
坊がネズミになった理由は?なぜ湯婆婆は気付かなかった?
さて、これまで坊の正体やお母さん・お父さんについて触れてきました。
ここからは、きっと皆さんも観ていてはてなマークが浮かんだであろう2つの疑問について掘り下げていきたいと思います!
それがこの2つです。
- なぜ坊はネズミにされたのか
- なぜ湯婆婆はネズミが坊であることに気づかなかったのか
坊がネズミにされたの経緯
まず1つ目、坊はなんでネズミに変えられちゃったんでしょうか。
「あんたはちょっと太りすぎね」
坊の姿を見た銭婆は魔法で坊を小さいネズミの姿に変えちゃいます。
「その方が少しは動きやすいだろう」
確かに、もともとの姿よりは俊敏に動けそうな姿になっていますね笑
しかし小さくするだけではなく、ネズミに変化させたのはなぜなんでしょう。
ここに、もう1つの話に繋がるヒントがあります。
湯婆婆が坊ネズミに気づかなかった理由
坊がミニマムサイズに縮んだだけでは、当然ながら湯婆婆もそれが坊であることに気づいちゃいますよね。
バレないための対策として、別の生物(ネズミ)を選んだのかもしれません。
それにしても、なぜ優秀な魔女であるはずの湯婆婆が、仮にも自分の大切な息子である坊がネズミになったことに気づけなかったのでしょうか?
「なんだい?その汚いネズミは。」
湯婆婆はネズミになった坊を一瞥します。
「え?あの、ご存知ないですか?」
そんな湯婆婆に、千尋はびっくりした様に問いかけますが…
「知るわけないだろ。おー嫌だ。」
お母さんにそう言われた坊は、とても悲しそうな表情をします。
この時、千尋は(なんで気づかないんだろう)と言いたげな様子でした。
それもそのはず、千尋は湯屋を出る条件として提示された、豚の中から両親を見つけるクイズの際、「ここにはお父さんもお母さんもいない」と即答します。
つまり、豚になって姿かたちが変わっても、千尋には両親のことがわかっていたのです。
では、千尋と湯婆婆にはどんな違いがあるのでしょうか。
その違いとは、坊や両親に向けるそれぞれの愛情の差ではないでしょうか。
千尋は両親のことをどう思っていたのでしょう。
あんまり自分の言い分を聞いてくれなかったり、ハキハキした性格の両親に引っ張り回されながらも、年相応にお父さんお母さんへの愛情が伝わります。
一方の湯婆婆はどうでしょうか。
寝ている坊に甘ったるい口調で話しかけたりキスをしたり、坊が連れ去られたと知った時には激昂したりと、深い愛情があることはわかります。
しかし、湯婆婆の愛情は歪んでいるのです。
坊は湯婆婆の庇護の下、ずっと無垢でわがままな赤ん坊のまま過ごしてきました。
湯婆婆も、坊が成長することを望まずひたすらに甘やかします。
また、連れ去られたと知った時も、坊の身を案じるというよりは、自分の所有物を奪われて激昂しているように見えます。
つまり、湯婆婆にとって坊は、愛玩するだけの存在の可能性があります。
本当の坊としっかり向き合っていない。そんな接し方だったからこそ、湯婆婆はネズミになった坊に気づくことはなかったのかも…
成長した坊と湯婆婆が、これからどんな親子関係を築いていくのかが楽しみですね。
坊のセリフが可愛い!担当した声優は誰なの?
坊が「うえーん」と泣く声もとってもかわいい!!
#坊「坊と遊ばないと泣いちゃうぞ」
※データ放送企画「セリフdeキター!」では、現在このセリフが対象。参加してキターボタンを押そう!#千と千尋の神隠し #宮崎駿 #ジブリ #金ロー #千尋 #ハク様 #カオナシ #神木隆之介 pic.twitter.com/YpjpDhMRGE
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) August 16, 2019
私が坊の声を初めて聞いた時、こんなにリアルに子供の声を出せるなんて、声優さんってやっぱりすごい!と思ったのですが。。
しかし実は・・この坊の声、当時7歳の少年が演じていたのです!!
それがこの方、神木隆之介さん
- 生年月日:1993年5月19日
- 出身:埼玉県
- 代表作:妖怪大戦争、るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編など
現在は28歳!ドラマに映画・舞台に声優など、その少年のような爽やかなルックスと磨かれた演技力を武器に、マルチに活躍している俳優さんです!
そんな神木隆之介さんの声優デビューが、なんとこの『千と千尋の神隠し』なのです。
また、当時のアフレコ現場でのホッコリ裏エピソードも紹介します。
ある日、坊のアフレコ現場に来た宮崎駿監督は、神木隆之介さんに演技について指示を出します。
宮崎駿監督を前にして、堂々と落ち着いた様子でコクンとうなずく神木隆之介さん。
すごいことに、なんと一発OK!!ホッと安心したように神木隆之介さんは笑顔を見せてくれました。
これには宮崎駿監督もメロメロだったとか笑
周りまで暖かくする。そんな神木隆之介さんが演じてくれたからこそ、坊はこれ程まで多くの人に愛されるキャラクターになったんですね。
まとめ
最後に、作品を通しての坊の成長についても少し触れて終わりたいと思います。
「バーバのケチ。もうやめなよ」
湯屋に戻ってきた一行を待ち構える湯婆婆。
その湯婆婆が出したクイズに対し、元の姿に戻った坊が言うセリフです。
わがままで他人の都合なんて気にせず乱暴だった坊とは思えない言葉ですよね。
千尋と会い、外の世界を知ったことによって坊は短期間でみるみる成長し、千尋を気遣い湯婆婆を諭すまでに至ったのです。
千と千尋の神隠しは、主人公である千尋の成長が描かれていることはもちろんですが、もう1つ、坊の成長についても丁寧に描かれています。
盲目的に湯婆婆の言葉を信じ、外の世界に出ようとしなかった坊。
しかし、一歩踏み出すことで人は短い期間でも変わることや成長することができる。
作品を通じて、そんな宮崎駿監督のメッセージを受け取ったように感じます。
さて、今回は坊の正体や年齢、母親や父親の説などをまとめましたが、いかがだったでしょうか。
『千と千尋の神隠し』をまだ観たことがない方も、しばらく観てないなって方も、これを機に観てもらえたら嬉しいです。