国民的人気アニメ『ドラえもん』には、個性あふれる主要キャラが揃っています。
なかでもジャイアンは、インパクトある存在感です。
昔はよくいたガキ大将キャラで、言うことやることすべてが自分勝手で乱暴者。
今現代にジャイアンみたいな子がいたら、間違いなく問題児扱いレベルで大変なことになるでしょう。
笑ってみていられるのは漫画やアニメの世界だからで、実際に自分のまわりにいたら厄介な存在です(笑)
でも『ドラえもん』を観ていて、
「どうしてジャイアンは、同級生の中でも特にのび太をいじめるの?」
「たまに急に良い奴になるけど、本当は性格いいの?」
「本当はジャイアンとのび太は仲良し!?」
と不思議に思うことがありませんか?
今回は、そんなジャイアンとのび太の関係を徹底的に分析!
『ドラえもん』はいじめを助長している?という気になる話題も見つけましたので、そちらについてもまとめています。
ジャイアンはなぜのび太をいじめるのか?
なぜジャイアンはのび太をいじめるのか・・・この疑問に関して、様々な見解が出ています。
確かにのび太以外の同級生にも意地悪をしたり、乱暴をすることがありますが、大半はのび太に向けて意地悪が発生しては、のび太がドラえもんに泣きつく流れです。
専門的な意見から客観的な意見まであり、そのすべてを調べて私が出した答えは3つ。
1、ストーリーを面白くするため
ドラえもんが活躍し、ひみつ道具を魅力的に面白く紹介するには、ドラえもんがのび太を助けるキッカケが必要で、ジャイアンがのび太をいじめるしかない。
この一連のストーリーの必須事項のようなものです。
マドンナ役のしずかちゃんや優等生の出来杉くんが、陰でのび太を執拗にいじめるのは、ある意味グロすぎて笑えませんし、キャラの設定的に不自然です。
また、ほかの同級生をジャイアンがいじめて、そこにドラえもんが登場しひみつ道具を出す流れも、どうでしょう・・・たまにあってもいいですが、しょっちゅうだとおかしいですよね。
ガキ大将のジャイアンが子分のようなスネ夫を従えて、のび太をいじめて面白がり、ドラえもんがそれを助けようとする方が、断然ストーリー展開が自然でわかりやすいです。
2、のび太の設定がそもそもいじめられっ子キャラだから
そもそも、のび太のキャラ設定がいじめられる要素満載です。
勉強も運動もできない、気が弱くて嫌なことを嫌だと言えない、自分で努力するのが苦手ですぐにドラえもんを頼り、楽をしようとする。
調子にのればやりすぎて失敗をし、みんなに迷惑を掛けてばかりいる。
だからいじめて良いのかは別として、のび太にはいじめられる要素満載なのは事実です。
むしろ、いじめられっ子ポジションとして確立された完璧なキャラクターなのです。
3、ジャイアンにも、それなりのストレスがあると考えられる。
ジャイアンはガキ大将で、同級生からは恐れられている存在ですが、無敵とも思われるジャイアンにも「母ちゃん」という脅威的な存在がいます。
母ちゃんなりにジャイアンを愛しているとは思いますが、ゲンコツや平手打ちは当たり前の叱り方、欲しいものは買ってくれない。
同級生が自由に過ごしている放課後にジャイアンはお店の手伝いをさせられたりと、母ちゃんがジャイアンを絶対的な力で支配している背景があります。
そのストレスが、1番気の弱いのび太に向けられている・・・という考え方です。
また、のび太にはドラえもんという便利な味方がいることにヤキモチを焼いている・・・という意見もあります。
こうして調べてみると、ドラえもんの話を面白くするためには、のび太がジャイアンにいじめられることが必須。
ジャイアンがのび太をいじめる理由は、単純に言えば制作側の”話を作るうえで仕方のないこと”ですね。
そして、よく子育て論やいじめ論に、ジャイアンやのび太、スネ夫などが例に出され、心理学観点から分析をされている記事が多数あります。
作者がそこまで計算してキャラ設定をしたのか、偶然なのかはわかりませんが、ドラえもんの登場人物は、子どもの家庭環境・人間関係を映す、実は奥深いアニメなのかもしれません。
ジャイアンは本当は性格が良いのか?それともクズ?
ジャイアンは本当は性格が良いのか、クズなのか・・・
普段のジャイアンは、自分勝手で乱暴で、相手の気持ちを考えない、クズな言動と行動が目立ちます。
のび太やスネ夫のマンガ本やおもちゃを強引に奪ったり、気に食わないことがあれば平気で殴り、野球の試合もメンバーが足りないときだけのび太を入れて、それ以外は仲間はずれにする。
のび太のせいで試合に負ければ、容赦なく文句を言い、最悪のび太をボコボコにします。
性格とは関係ありませんが、聴いてるほうが体調を崩すほどの歌声を披露したり、地獄鍋のようなジャイアンシチューを振る舞ったりと、迷惑行為も多いです。
これだけ見れば、はっきり言ってジャイアンはクズですね(笑)
でも、ジャイアンは本当は性格が良いという意見も多く、いじめっ子キャラなのに人気があるという不思議な存在でもあります。
さっき私はジャイアンをクズだと断言しましたが、私にとってジャイアンは、憎めない大好きなキャラでもあり、映画では特に友情を大切にする姿が多く、頼りになるガキ大将に印象が変化。
のび太たちと一致団結して悪に立ち向かう姿は、男らしく勇敢でもあります。
普通のアニメ版でも、妹思いだったり、涙もろかったり、のび太を助ける場面も時々あるので、「実は良いヤツ説」がジャイアンにでるのも納得です。
普段がクズすぎるから、少し優しいと”超良い人♡”に感じるギャップ効果もあると分析しますが、確かにジャイアンは根っからの性悪とは思えません。
心の底から感謝をして「心の友よ!」と叫ぶときや、地獄鍋のような料理を振る舞うときはみんなが喜ぶことを想像して作っていますし、ジャイアニズムと言われている暴言も、実は素敵な意味を持つ名言だったりもします。
実はジャイアンには、モデルとなる存在がいたことも有名な話で、作者の藤子・F・不二雄氏の、子供の頃にいたガキ大将なんです。
モデルとなったガキ大将はいじめっ子ではなく、同級生や近所の仲間を守る頼もしい存在だったようですが、ドラえもんの存在を活かすために、原作ではあえていじめっ子のキャラで描いたと言われています。
ですが、ジャイアンをただの悪役にしたくない作者の思いから、アニメ版ではジャイアンの良さを少し取り入れ、特に映画ではジャイアンの仲間思いの面を強く出していると私は考えます。
- 原作では完全クズ。
- アニメでは基本的にはクズだが、たまに良いヤツになる。
- 映画では仲間と協力する超良いヤツになる。
なので、ジャイアンはクズなときが多いが、根本的には性格は悪くないはず!というのが、私の答えです。
性格が良いと言い切れないのは、やはり数々の行き過ぎた意地悪、迷惑行為がありますのでご了承ください(笑)
実はジャイアンとのび太は仲良し?なぜいつも一緒にいるのか
ジャイアンとのび太は、よく一緒にいて行動しています。
ジャイアンはのび太をいじめの対象とすることが多いですが、困ったときなどはのび太やドラえもんを頼ってくるときもあって、ジャイアンにとってのび太が、特別な友達であるように見えてしまうときもあります。
そして、のび太はトラブル回避のためにジャイアンを避けようとする場面が多くみられますが、最終的にはジャイアンを助けてしまう優しい一面も・・・
ジャイアンとのび太は、仲良しなのかもしれない!?という意見が出るのもうなづけます。
果たしてジャイアンにとってのび太は、
- いじめるのにちょうど良い存在?
- ストレス発散にうってつけ?
というだけの存在なのでしょうか・・・
いいえ!ジャイアンはのび太を大切な友達だと思っています!!
だからいつも一緒にいるのです!
その証拠となるエピソードが、「もしもボックス」のひみつ道具のお話です。
”もしも、のび太がアメリカに引っ越すことになったら”と試したら、もしもボックスが故障して、本当にのび太が引っ越すことになってしまいました。
ジャイアンはのび太を空き地に呼び出し、「これまでいじめた分、オレを殴れ!」と言って、嫌がるのび太を説得して自分を殴らせます。
「頼む!!このままではオレが一生お前に借りがあるみたいですっきりしねぇ!」とのび太を説得する姿に、その放送を観ていた私は、子供ながらにジャイアンとのび太の友情に涙したことを覚えています。
ジャイアンはのび太をいじめてはいましたが、大切な友達だと思っていたことは間違いありません。
ちなみにスネ夫は謝罪の言葉と一緒に、たくさんのおもちゃをのび太に持ってきました。
子供ながらに”スネ夫はこんなときでも物かよ!”と思ったのも覚えています(笑)
この「もしもボックス」の放送回は、ジャイアンもスネ夫も不器用な友情表現ではありましたが、のび太を大切な友達だと認めていることがわかるお話でした。
結局は、ドラえもんがもしもボックスを修理し、引っ越しはなくなります。
引っ越しがなくなったと知ったジャイアンが、逆ギレをしてのび太を追い回す・・・いつものドラえもんのオチでした(笑)
ドラえもんはいじめを助長していると一部で批判が
子供に安心して観せられるというイメージのドラえもんですが、実は「ドラえもんはいじめを助長している」という声も上がっています。
実際に台湾では教育団体が放送自粛を求め、放送事業の監督機構・国家通訊伝播委員会(NCC)が調査を行う事態になったと大騒ぎになったことが・・・
- ジャイアンがのび太をいじめるエピソードが、成長過程の子供に悪影響。
- なにかあるとドラえもんに泣きつくのび太や、自慢ばかりするスネ夫も、観ている子供に良い影響をもたらさない。
という内容が、とあるブログに掲載されたのが発端だったようです。
実際のところは、NCC側がこの報道はデマであり、「ドラえもんの放送自粛を求めたことはない」と発表しています。
NCCに寄せられた多くの苦情は、ドラえもんが放送禁止になる!?と勘違いした人からのものがほとんどだったそうです。
批判よりも、ドラえもんの放送をやめないで!という声が圧倒的に多く、ドラえもんの人気の大きさを再確認する出来事となりました。
確かにそのような批判の声は台湾だけではなく、日本でも見かけます。
暴力を振るうジャイアンを良しとしないことは多少理解できますが、では、単なる仲良しこよしのドラえもんのアニメになれば、子供に良い影響を与えると言い切れるのか?
それは違うような気がします。
ここからは私個人の考えとなるので、私の考えに反対される方もいるかも知れませんが、本音を書かせていただきます。
子供は経験が不足しているので、いろいろな意味で未熟です。
確かに周りの環境や、見るもの聞くもので影響を受けてしまう部分もあるのは、否定できません。
ドラえもんの主要キャラには、その人物の悪い部分と良い部分がきちんと表現されていて、自分に当てはまるキャラ、クラスメイトや近所に思い当たる人物がいるのが、ドラえもんの登場人物の良いところだったりします。
人間関係はとても複雑で、長い人生で悩むことが多い問題ですが、子供でも大人でも、ドラえもんを通して学ぶことがとても多いと個人的に思っています。
ドラえもんは暴力的でいじめの場面が多いから、どうしても子供に観せたくないという方は、観せなければ良いと思います。
でも、それだけで子供はまっすぐ育つでしょうか?
人の痛みを知る大人に育つには、ちゃんとした経験と、ある程度の情報が必要だと私は考えています。
ドラえもんには、それを学ぶ要素がたくさん含まれていると感じているのは、私だけではないはずです。
そして何よりも、夢のあるひみつ道具に、子供のうちはわくわくして良いのではないでしょうか?
仲間と冒険する興奮を、ドラえもんを通して共感しても良いのではないでしょうか?
ドラえもんの物語をきちんと理解して観れば、”子供にとって得るものの方が多い”というのが私の考えです。
まとめ
- ジャイアンがのび太をいじめるのは、物語上仕方がない。
- のび太にはいじめられる要素満載。
- ジャイアンにもストレスがあると思われる背景がある。
- ジャイアンはアニメ版では基本クズだが、根本的に性格が悪いわけではない。
- ジャイアンは、のび太を大切な友達と思っている。
- ドラえもんに批判的な意見もあるが、肯定的な意見のほうが多く人気は健在。
いかがでしたか?
今回は、ジャイアンとのび太の関係を深堀りしてみました。
ジャイアンがのび太をいじめるのは、物語として仕方のないこと。
そうじゃないとドラえもんが活躍しません(笑)
ジャイアンがのび太を”大切な友達”と思っていることは、わかって頂けたと思います。
そして、ジャイアンの性格は良い!と断言するには至りませんでしたが、原作、アニメ、映画でジャイアンの性格を少し変えていることがわかりました。
私個人は、ドラえもんを観せることで子供に悪影響があるとは思っていません。
そこは各家庭での判断になりますので、観るべき!とは強く言いませんが、暴力やいじめの一部分だけを取り上げずに、物語全体を観てもらえたら、少しは誤解が解けるのかな・・・と感じます。
特に映画は感動的で、普段は弱虫なのび太が敵に勇敢に立ち向かっていったり、そんなのび太に協力するジャイアンを観ると、友情って素晴らしい!と改めて感じますよ。