「もののけ姫」の主人公・アシタカがエミシの国で呪いをうけて行き着いた先がエボシ御前という女性のリーダーが仕切っているタタラ場という場所。
タタラ場ってナゾだらけの場所ですよね。
今回は、「もののけ姫」に登場するタタラ場のナゾを考察していきたいと思います!
タタラ場とはどんな場所なの?
子供の頃、初めて「もののけ姫」を見た時は、ストーリーに夢中になりすぎて特に疑問に思わなかったタタラ場。
大人になっていき、何度も「もののけ姫」を繰り返し見てきた人は
「タタラ場ってちょっと変な場所だな。」
と、思った人もたくさんいるはず。
タタラ場について、こんな疑問が湧いてきませんか?
[box class=”box31″ title=”タタラ場の不思議なところ”]
- 包帯をしている人達は、何かの病気なのか?なぜ、隔離されているのか?
- なぜ、タタラ場には子供が1人もいないのか?夫婦はたくさんいるように見えるのに。
- タタラ場には、女性が圧倒的に多い。なぜ?
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これらの疑問を中心にタタラ場について調べてみたので紹介していきたいと思います!
タタラ場で包帯を巻いている人はハンセン病患者だった
森を切り開き、自然を破壊しながら、鉄や武器を作っているエボシ御前が切り盛りする村「タタラ場」。
女性たちが強くイキイキと働く村でもあるのですが、その村の奥には、それぞれ様々な部位や全身に包帯を巻いている人達が仕事に精を出す場所があるんです。
その包帯を巻いている人達、ケガではなく病に侵されているようなのですが・・・
調べてみると、どうやら包帯を巻いている人達は「ハンセン病患者」であるようなのです。
[box class=”box32″ title=”ハンセン病とは”]
人類の歴史の中で最も古くから恐れられていた病気の1つ。
「らい菌」に感染することで起こる病気で、現代では感染・発病することはほぼなくなっている。
感染力は弱いが、人にうつることもあり、治療せずに放っておくと、身体の変形を引き起こし障害が残る場合もある。
発病すると、
- 手足などの末梢神経麻痺
- 汗が出ない
- 冷たい・熱い・痛い・かゆいなどの感覚がなくなる
などの症状が出る。
現代では特効薬があり、完治する病気となった。
病名の由来は「らい菌」を発見した、アルマウェル・ハンセン医師の名前から。
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「もののけ姫」の作中で、包帯の人達が「ハンセン病患者」だという事は、はっきり表現をされていません。
ですが、宮崎駿監督が「もののけ姫」について話をされている時に
以前、ハンセン病療養所を訪れたことがあり、業病と言われる病を患いながらも懸命に生きる人々を描かなければならないと感じ、「もののけ姫」の一場面にハンセン病患者を描いた。
と、コメントされていたので、おそらく包帯の人たちは「ハンセン病患者」であったのだと思われます。
タタラ場に子供がいない理由は?
宮崎駿監督の作品といえば、イキイキとした子供が登場する作品が多いですよね!
「もののけ姫」は、そんな宮崎駿監督作品の中ではめずらしく、子供があまり登場しない作品なんです。
特に「タタラ場」は夫婦も多く子供がいないことの方が不自然なように感じるのですが・・・。
何かワケがあるのでしょうか?
[box class=”box32″ title=”タタラ場に子供がいない理由”]
- タタラ場は製鉄所でもある、とても危険な場所なので子供を守ることが難しい
- 森を切り開いて鉄を生産しているタタラ場は、山の神の怒りをかいつづけていて、いつ襲われるか分からない場所だから
- 鉄が豊富にあるタタラ場。戦国時代であった「もののけ姫」の時代に鉄は貴重な物で、他国からも襲われる可能性が高く、危ない場所だから
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このような理由が、タタラ場には子供が暮らしていない理由といえるのかなと推測されます。
タタラ場は、好奇心旺盛で動き回ることが大好きな子供に安心できる暮らしを与えることの出来ない場所なんですね。
まだまだ発展途上の段階であるタタラ場。
もしかすると他の安全な場所に、子供や老人・妊婦さんなど守るべき人達を隔離して生活させているのかもしれません。
タタラ場がしっかりとした安全を確保出来るようになれば、タタラ場に子供達の声が響き渡る日が来るかもしれませんね。
タタラ場に女性が多い理由は?
現実の「たたら場」は、本来、女人禁制であったようです。
力仕事で危ない仕事でもあったからでしょうか。
本来は、「もののけ姫」の世界でも女人禁制が原則であるという設定のようですね。
でも、エボシ御前の「タタラ場」は女性が多く働いていますよね。
なぜなのでしょうか?
[box class=”box32″ title=”エボシ御前の「タタラ場」はなぜ女性が仕切っているのか”]
- エボシ御前がタブーなど気にしないフラットな思考の持ち主だったから
- 男達は警備や外の仕事にあたっていて男性の人材が足りず、村内の仕事は全て女性が行っているから
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このような理由が考えられるかなと思います。
エボシ御前は、困っている人を放っておけない性分のようです。
エボシ御前が売られた娘達を助けて、タタラ場の仕事を与え、働き手としてたくさん連れ帰って来るので、タタラ場にはどんどん女性が増えているみたいですね。
「性別も病気も関係ない。出来る者が出来る事を精一杯やる。」ということが、エボシ御前の理念のようです。
とても先進的な女性ですよね!
タタラ場のハンセン病患者は治ったの?
一生懸命、病を抱えながらも働いていた「ハンセン病患者達」の病は治ったのでしょうか。
「もののけ姫」のラストシーンでは、シシ神に首を返すことによりシシ神の怒りが落ち着き、シシ神の怒りで死に絶えていた森は生き返り、生命が再生されていく様が描写されていましたよね。
そのシーンの中には、ハンセン病患者達の様子も映されており、顔を隠していた布や包帯が巻いてある両手にキレイな素肌が見えて、患者自身が驚いているという描写がありました。
おそらく、ハンセン病患者達の病は治ったのだと思われます。(※左の銃を持つ女性が、元ハンセン病患者の女性)
一方で、シシ神が治してくれないものもありましたよね。
全てを治してくれるわけではないというところに宮崎駿監督のメッセージが込められているようにも感じますね。
もののけ姫のハンセン病シーンに対する海外の反応
「もののけ姫」は海外でも人気のあるアニメ作品ですが、ハンセン病患者の登場するシーンについて、海外の人達はどのような反応を見せているのでしょうか。
ネット上のコメントを紹介しますね!
[say img=”https://animebolg.com/wp-content/uploads/2019/02/82706cd90b9b8b2526afc0cfbff99ae7.png” name=”海外ファン”]ハンセン病患者のセリフが心にささる。「人間扱いされない。」
差別が普通に起きていたことを恥じるべきだ。
そしてこれからは二度としてはいけないと強く感じさせてくれる作品だった。[/say]
[say img=”https://animebolg.com/wp-content/uploads/2019/02/76051f4c9ef40d9f226cf714dd4f7a01.png” name=”海外ファン”]隔離され、ひっそりと暮らし、それでも懸命に生きている人達。
森を破壊し続けるエボシには、賛成できないけど、エボシが本物の悪だとも感じられない。
エボシも困っている人達を助け、生活していかなくてはならないのだから。
監督の深い思いがこの作品には込められている。
子供だけでなく、ぜひ大人にこそ見てほしい作品。[/say]
海外でも、ハンセン病患者達のシーンは、印象強く残っているみたいですね!
環境問題への意識が高い海外で環境破壊をし続けるエボシ御前は悪人ととらわれがちですが、悪だけではない、一方では善なのだという意見が多くみられました。
海外の多くの人達は宮崎駿監督がこの作品に込めた思いを肌で感じ取ってくれているようです。
タタラ場でのエボシ御前の役割や存在意義と宮崎駿監督が伝えたかった事は?
現在より、女性の立場がもっと弱かったであろう、「もののけ姫」の時代に女性の村のリーダーとして登場するエボシ御前。
- 強く・たくましく・頭が良い
- 勇ましく・戦う腕も良い
- 弱い者の立場に立ち、寄り添う優しい心を持っている
このような性格のエボシ御前は、森の住人(シシ神など)からすれば、憎い人間ですが、立場の弱い人間からすると、神のように優しい存在なんだと思います。
エボシ御前のつくりあげた「タタラ場」は、人間社会での居場所を失った人達(ハンセン病患者や身売りされた女性達)に居場所を与えてくれる唯一の場所なんです。
このことから宮崎駿監督は、
社会で生きづらく、いらない存在なんだと感じることがあっても、必ず誰にでも居場所や生きる意味はあるのだ。
また、そのような人達を見かけたら手を差し伸べてほしい。
というメッセージをエボシ御前を通して、見ている人達に伝えたかったのだと思います。
エボシ御前は重要な使命を持って「もののけ姫」に登場していたんですね!
また、「もののけ姫」のラストシーンでアシタカは今後、タタラ場に残って生活すると発言しています。
アシタカもまた、エミシの国で呪いをかけられ半ば国から追い出されてしまったようなもので、居場所を失ってしまった者の1人でもあるんですよね。
アシタカも「タタラ場」で居場所を見つけて新しい生活を送れることになるのではないかと思います。
全ての人間・生き物達に「もののけ姫」のテーマ
「生きろ。」
を宮崎駿監督は、ただただ伝えたかったのではないかと感じました。
まとめ
今回は、「もののけ姫」に登場するタタラ場のナゾについてまとめてみました。
調べていくにしたがって、タタラ場のナゾやエボシ御前の役割が分かったような気がします。
「もののけ姫」はどこまでも深い作品であり、何度見ても発見のある作品でもありますよね。
今回の記事を読んで、もう1度「もののけ姫」を見ると、また新しい何かに気付くことが出来るかもしれませんよ!