「となりのトトロ」を観たら必ず心に残る不思議な存在、まっくろくろすけ。
まっくろくろすけの正体って一体何なのか、「となりのトトロ」を観た方ならばどなたも一度は考えた事があるのではないでしょうか?
暗くて良く見えない家の隙間にうごめく不思議な存在で、やっと捕まえたと思っても手は煤で汚れただけ・・・。
ちゃんと目があって意思を持って動いているように見えるのに、本当に奇妙で謎に包まれていますよね。
まっくろくろすけは、お化けなのか、まぼろしなのか、モデルが実在するのか?
映画を観ただけでは分からない、でも誰もがずっと知りたかったまっくろくろすけの正体に迫りたいと思います。
まっくろくろすけの正体は「ススワタリ」
映画の中でまっくろくろすけが初めて登場するのは、サツキとメイが引っ越し先である家のお勝手口を開けた時です。
ドアを開けた瞬間、何かがいなくなり一気に室内が明るくなった事にサツキ達は驚いていましたよね。
「ゴキブリでもない、ネズミでもない、黒いのがいっぱいいたの!」と言うサツキに、父親はその正体を「まっくろくろすけ」だと言います。
その後再びまっくろくろすけに遭遇した際に、メイが一匹捕獲する事に成功します。
サツキ達に見せようとしますが、両手で挟むように持っていたはずのまっくろくろすけはどこにもいません。残ったのは真っ黒になった手と足だけです。
それを見たカンタの祖母は、「ススワタリ」だと言います。
「それは妖怪ですか?」とサツキ達の父が言った瞬間その言葉に頷いたファンの方も多いのではないでしょうか。
すすわたりは漢字で「煤渡り」と書き、サツキ達が引っ越してきたような古い家に住み着いて、そこら中を煤と埃だらけにしてしまうと言われています。
家に誰かが住み、綺麗になると屋根裏や壁の隙間に住みついたり、新たな居場所を求めて違う所へ行ってしまいます。
おばあちゃんが「今頃引っ越しの相談でもしているのかな?」と言っていた通り、夜サツキ達がお風呂へ入っている間にどこかへ飛んでいってしまいましたよね。
まっくろくろすけは千と千尋の神隠しにも登場している
実はまっくろくろすけは「となりのトトロ」だけではなく「千と千尋の神隠し」にも登場しています。
「千と千尋の神隠し」では、千尋の靴を大事に隠しておいてくれたり、金平糖を嬉しそうに運んだりといった愛らしい姿が印象的でした。
トトロで登場するまっくろくろすけは、丸くけばけばしたフォルムに目玉が二つくっついているビジュアルでしたが、千と千尋の神隠しでは手足が生えており、窯爺のもとで働くキャラクターとして登場しています。
まっくろくろすけは、冥界と現実世界を結ぶ生き物とされているという話もあります。
本当ならば、千と千尋の神隠しの世界とリンクしていて神秘的ですよね。
その姿は煤に魔法をかけられてできており、風呂を沸かす窯に自分の体よりも大きい炭をせっせと運び続けています。
炭の重さはなかなかの重量で、千尋でさえ腰を落としながらやっとの思いで運んだほどです。
好物は金平糖で、リンがばらまいた時とても喜んでいる姿が何とも可愛らしいです。
千尋に炭を運んでもらった事に味を占め、わざと炭の下敷きになるなどずる賢い一面を持ちながら、千尋の靴を大切に保管するなど優しさも持ち合わせており、憎めない愛らしさで溢れています。
まっくろくろすけのモデルはザトウムシ?
「となりのトトロ」と「千と千尋の神隠し」で異なる姿で登場していたまっくろくろすけ。
モデルとされているのは、ザトウムシという長い脚が特徴的な節足動物なのです。
クモと同じクモガタ類であり、別名「メクラグモ」とも呼ばれている事からクモの仲間に思えますが、異なる分類群に属しています。
球状の胴体から細長い毛足が生えている所が窯爺の元で働くまっくろくろすけ達を連想させますね。
しかし、となりのトトロで見るまっくろくろすけと言えばケサランパサランのようだと言われる姿である為、本当にザトウムシ?と疑問が浮かんでしまう所。
ということで、本物のザトウムシが群れで固まる姿を探してみたのですが、
まさにサツキ達が見たまっくろくろすけの大群そのもの(…というかグロテスクww)。
宮崎駿監督が作り出した架空の妖怪であり、真実は不明ですがそっくりですよね。
実は、窯爺もまたザトウムシがモデルであると言われています。
確かに見た目がそっくりです。
あんなに足があったら何でもできるのにと窯爺を羨ましく思った方も多いのではないでしょうか。
作中でまっくろくろすけの事を「チビども!」と呼んでおり、まるで自分の子供のように一緒に働いている姿を見ると、同じ種族の仲間である事が想像できます。
まっくろくろすけが登場する意味とは?
「となりのトトロ」にまっくろくろすけが登場する意味とは何なのでしょうか?
これは、子供だけに見えるところにヒントがありそうです!
となりのトトロに出てくるトトロやネコバスは、スタジオジブリが作り出した架空の妖怪とされており、子供の頃の特別な時にしか会う事ができない生き物だと言われています。
現に、サツキの両親には見えておらず、メイを探す際にサツキを乗せたネコバスが田んぼを横切ってもおばあちゃん達には風としてとらえられているシーンがありましたね。
上記でもご紹介したように、まっくろくろすけもまた宮崎監督が作り出した架空の妖怪であり、
おばあちゃんが「小さい頃には私にも見えたが、あんたらにも見えたんけ」と言っている事から子供にしか見えない事が分かります。
となりのトトロの物語は自然を大切にしたいという宮崎監督の思いから生まれた作品という事や、まっくろくろすけと聞いてサツキ達が絵本で見たキャラクターではないかと驚いていた点から、自然に生息する生き物と子供たちの夢を大切にする想いから生まれたキャラクターと考えられます。
まっくろくろすけの登場についてはっきりとした記述はありませんでしたが、掃除して綺麗になった場所や光を嫌う事、サツキ達の父親が「笑っているとおっかないのが逃げて行くよ。」と言っていた事から、心の中の不安や、恐怖という形の無い黒いものがなくなって晴れやかになるという意味合いもあるのではないでしょうか。
しっかり者のさつきが抱える不安や、母親の入院で寂しい思いをしているメイの心が晴れるようにという願いが込められているのかもしれません。
まっくろくろすけは実在する?「見た」という人がいる
まっくろくろすけは実在するのでしょうか?調べていくと、どうやら実際に「見た」という人がいるのです。
サツキ達と同じく子供の頃、お風呂でまっくろくろすけを見つけたという方がいらっしゃいました。
これは燃えた薪から出てきた「煤(すす)」のことですね。
メイのように触ると手が真っ黒になるようです。
黒くなった埃が隙間風によってコロコロと動く姿はまさにまっくろくろすけ。
これなら見た事ある!と共感する方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
純粋な子供だからこそ、生き物として見えるのですね。
それなら捕獲した際にメイの手が真っ黒になった事も納得できます。
一方で「見た」と言っている方々のうちには、まっくろくろすけというより心霊現象の一種として捉えている人もいます。
スピリチュアルの観点から「まっくろくろすけは精霊」「神様のおつかい」だと主張する人も。。。
いずれにせよ、煤渡り(ススワタリ)をまっくろくろすけというキャラクターとして登場させるスタジオジブリの発想に圧巻です。
改めて、子供から大人まで人気がある事が分かります。
まとめ
作品内では出番も少なくささやかな脇役にすぎないまっくろくろすけですが、知れば知るほど気になる存在ですね!
だからこそ、映画発表から30年以上も経った今でもキャラクターグッズが出ているのでしょう。
それも、古さを感じさせないジブリ作品だからこそかなと思います!
もしかしたら、今後のスタジオジブリ作品にもまっくろくろすけが登場するなんて事があるかもしませんね!
最新作でそんな嬉しい発見が出来る日を楽しみに待ちたいと思います!